前回、森と木と人間について書きましたところ、快適に感じる木の量が知りたいときかれました。人は、視界に入る木の量で安らぎを感じたり、高揚感を感じたりすると実験によっても証明されています。つまり、部屋の用途によって適切な量が異なってきます。そんな効果を考えるのも建築設計の面白いところです。
さて、そろそろ梅雨の季節なので、今回は木の調湿性能のお話です。
木は、湿度に応じて、湿気を吸ったり、はいたりする働きがあります。室内の木の柱や床材は、湿度を人が快適に感じるレベルに保ってくれているのです。10センチ角、長さ3メートルの柱で約1.2リットルもの湿気を吸収・放出します。
そんな優れた能力を持っている木の柱を壁の中に閉じ込めたり、床材に塗装をして、呼吸を止めてしまうのは、もったいないです。
室内の湿度は、低くなるとインフルエンザ等のウイルスが増殖します。高くなるとカビやダニの発生でアレルギー疾患が心配になります。木の調湿作用を活用した住まいづくりで快適な暮らしを手に入れましょう。
次号も、木の魅力や不思議についてお伝えします。